「ミーム」の実例を、すごくわかりやすく例えるなら、「誰かに伝えたくなる事柄」である。それは、たとえば言葉だったり、物語だったり、写真や音楽かもしれない。その「事柄」を認識して、ほかの誰かに同じことを伝えたくなる。これが、ミームの根源だ。
たとえば、「だんだんなんか簡単になったん」という言葉がある。たぶんどこかで聴いたことがあると思う。何度も繰り返し早口で言うと、リズムがとれてしまうという言葉である。
この「言葉」のミーム性としては、『身体的に動かしやすい発音である』『リズムが心地良い』『実際に声に出してみないと実証できない』『声に出すと、第三者に聞こえる(拡散する)』『誰かに伝えたくなる面白さがある』という条件が重なり、人から人へ語り継がれる「言葉」となっている。
さて、この世に存在するミームとは、そのほとんどが意味のないものだ。偶発的に発生し、語り継がれるものだけが生き残る。そこには意思はないし、意味も無い。
私が行おうとしているのは、ミームの設計だ。ミームを一から作りだし、そのミームに『制作者の意図を乗せて』設計し、語り継がせようというものだ。
上記の例で言うと「kayashinなんかイケメンになったん」という言葉を作るとしよう。この言葉を早口で繰り返すと・・・・・・。いかがだろうか。なんと心地良いメロディーだろう。誰かに教えたくなってきたであろう。そして、この言葉が語り継がれることによって、『kayashinさんってイケメンなんだ』という情報が、語り継いだ人々の記憶に残るのである。
他人の記憶に情報を植え付けるのは、比較的簡単だ。ただ、その情報を『語り継がせるように』するには工夫がいる。さらに、語り継がせることのできるミームに『情報を載せる』のは、さらに難しくなる。人の「身体性」が、非常に重要になる。
語り継ぐことが「楽しい・快感・自分の利益になる・優位に立てる・子孫を残すのに貢献する、」などなど・・・・・・。そのミームに、語り継ぐものが気付かないようにオブラートに包んだ状態で、語り継がせたい情報を乗せる。
これが、私の行おうとしている「ミーム設計」だ。
2017年の現状、その理想に一番近い存在が『初音ミク』だ。彼(彼女)は、歌という情報を奏でるために設計され、情報を拡散するためのツール(各SNSなど)を自由に行き来し、情報の受け取り手である人間(ミク廃)は、初音ミクを拡散させることを主として重んじている。
その初音ミクの創作の連鎖に、自分の意思を乗せて、他人の記憶に侵食し、無意識に語らせる。
実は、いまの自分には、それがもうできている。それが、『自分と初音ミクとの結婚』である。
いま、あなたは、この文章を気味悪がって読んでいるかもしれない。そして、Twitterなどで「なんかキモチワルイやつがいるー!」とか思ってリツイートするかもしれない。その瞬間、俺と初音ミクは結婚し、俺と初音ミクの子供があなたの思想に宿り、僕たちの子供とあなたは新たな子供を作り、ほかの誰かの思想に子供を宿すのである。
以上が、ミーム設計の意図である。と同時に、いまここに、ミーム設計研究所の立ち上げを宣言する。所長はもちろん、俺と、初音ミクだ。
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