2014年8月12日火曜日

4DXシネマの現状。そして、これから。

 日本国内での4DX情報があまりに少なかったので、自分の目で確かめてきました。今後の鑑賞される方の参考に。

 まずは4DXとはなにか、簡単に紹介しておきます。
 4DXという名称は映画館の上映規格の一つ。韓国のCJ 4DPLEX社が開発したフォーマットで、同国のアジア大手映画館チェーンCGVが積極的に導入を進め、アジア・中東を中心に展開中。2014年8月現在、日本では『小田原・福山・小倉・名古屋』のコロナワールド系列映画館と、『シネマサンシャイン平和島』の計5館で展開中。大都市圏を中心に展開を推し進めるIMAXとは異なり、4DXは地方にしか存在しないので、知らない方も多いのではないでしょうか。私もつい先日まで、存在自体を知りませんでした。
 ちなみに、このような体験型シアターは他にもあり、日本国内ではカナダのD-BOX社が開発した『D-BOX』という上映システムもあります。ただしこれは、既存映画館の座席の一部を改良したもので、4DXよりはおとなしめのシステムとなるようです。

 とにもかくにも、4DXの演出については、言葉で語るよりも、見ていただくほうが早いかと。

 


 映画好きを自称している以上、『観たことありません』では格好が悪いので、さっそく行ってきました。


 上映作品は『トランスフォーマー/ロストエイジ』 なんだかんだ言いつつ、毎回映画館で観ちゃう映画の一つ。
 劇場内に入ると、まず目につくのは、4席が独立した独特のシート。シートが動く関係上、席と席同士の隙間が大きく、通常の映画館の半分程度の収容人数しかないようで、収益上の問題からも、なるほど鑑賞料金が高くても仕方がないねと思えるくらいでした。観客側としては、どんなに混んでいてもゆったりと見られるのはありがたいです。
 着座位置が高いので、よいしょとよじ登るようにシートへ。上映前にもかかわらず、システムのチェックのためか、座席がブルブル震える。この時点で少しテンションが上がります。
 箱の大きさに比べスクリーンが小さすぎるようなきがするのですが、IMAX等と比べるのも酷なので、まぁこんなものかと自分を納得させます。



 いよいよ上映開始。本編の前に、まず公式デモPVとともに、4DXシステムのデモンストレーションが始まります。
 これが意外とよくできており、さらに期待感を煽る。

 

 そしていよいよ本編の開始。
 おぉ、はじめからシートがガシガシと揺れる! 風が吹く! 水が跳ねる! シートが揺れる! 揺れる! ゆれ、ちょっとまっ、揺れる! シートが震える! ちょっと待って揺れすgシートが揺れる! 揺れる! 揺れる! シートが震える! 風が吹く! ちょっと映画に集中できないんですけrシートが揺れる! 揺れる! 揺れる! 

 なんで関係ないシーンでシートが揺れる!


 とにかくシートが揺れすぎるんですよ。尋常でないくらい。百歩譲って、映画の登場人物の行動に合わせて揺れるならまだ理解できます。でも、そういう関連性は全くなく、とりあえず画面が揺れているならばシートも揺らしておこうという、非常に安直な理由で動かしているとしか思えない。
 開始30分ほどでグロッキー状態。適材適所で演出効果が働けばいいのだろうけれど、常に何らかのシステムが稼働しており、しかも、しばらくすると動きが画一的なことが判明し、初め感じていた期待感もそうそうと失われる。

 それでも4DXの仕掛け自体は良くできており、ガルバトロンの暴れっぷりのシーンでは、そこそこ楽しめました。(一部、煙の演出がすごすぎて、画面自体が見えねぇ! という本末転倒なこともありましたが、それはそれで面白かった)。


 映画と一体感を図るための4DXシステム。なんで今回みたいに冷める原因になってしまったかというと、やはり規格誕生の生い立ちにあるかと思います。
 現在、普通の人が体験できる最高の上映システムというと、IMAXやドルビーアトモスが存在します。これら規格の共通点としては、生まれたもとが映画製作者側だということ。作った作品を、より忠実に体感してほしいという発想から生まれた規格です。
 対して4DXシステムは、映画館側から生まれた規格。なので、演出効果については、既存の映画作品を『解釈』しながらつけていくことになります。
 ここが一番の肝となる部分なのですが、4DXがあとづけの演出である以上、IMAXのような作品との一体感は、難しいのではないかと思います。

 勘違いしてほしくはないのですが、システムは素晴らしいのです。これでディズニーランドのスターツアーズとか観たら、きっと面白いと思います。
 より一体感を出すためには、CJ 4DPLEX社自身で映画作品を作るしかないと思います。仮に4DXありきの映画が作られ、完全に演出がシンクロするようならば、最高の映画体験になるでしょう。

 いまはまだ、その一歩手前という感じかな?


 追記。肝心の映写システムは、通常のRealD方式。スクリーンの大きさも、最近のシネコンでは小さめでした。この時点で少し興ざめしたのも事実。映写システムを向上させるだけでも、かなり良くなるのではないのでしょうか。