2012年6月22日金曜日

垢抜けない、新時代アイドル





 賛美を書くのは簡単だけど、叩かれるのを承知で批判してみる。 
 みんなあえて黙ってるだけか知らないけれど、Project DIVAのPVって、すんごく旧世代でダサいよね。垢抜けてないっていうか。特に、ワールズエンド・ダンスホールのPVなんか、飯吹モノのレベル。いや皆さん、握手券商法だの国家ゴリ押しだの見下してるけど、たいして変わらんよ? と思ってしまう。 

 別にそれが悪いとは思っていない。俺は娯楽に前衛芸術だのを求めていないから、至極真っ当なエンターテインメントのほうが嬉しかったりする。SEGAの出した答えも、きっとそうなのだろう。 

 はて、vocalo_sceneを見渡してみると、意外にオッサンだらけだったりする。消費者(ボカロ経済に、生産者も消費者も無いけど、便宜的に使う)はまだしも、生産者を見渡してみると、それはもう古参のオッサンだらけ。ボカロがきっかけで何かをやり始めて、急成長しました! なんてのは稀有に等しい。殆が、音楽然り映像然り小説然り、それぞれの道でコツコツとやり貯めていたことを、ミクさん登場でベクトルを急に変えて、なんかすげぇ奴が出てきた! と思ってるだけ。本人にとって見ればしてやったり、ミクさんありがとうございます状態だったりする。 

 話はそれたけど、Project DIVAのPVを見返してみると、おっさんたち夢を叶えたかったんだなぁ、ミクさん登場で夢叶ってよかったなー、と思ってしまう。旧世代アイドルをそのまんまトレースしているようにしか見えない。古臭すぎて、逆に斬新に見えてくるレベル。 

 一番わかり易いのが、今年の大感謝祭のバックステージのネオンサイン。ちょっとドン引きしたのは俺だけじゃないはず。CGM時代の先鋒を担うミクさんのすぐ後ろに、かつてマスコミが創りだしたアイドルステージにぶら下がっていたかのような、ネオンサインによる『ミクの日大感謝祭』の文字。それはそれは、とってもシュールでした。 

 ボカロは金儲けしちゃいかん! とかなんとか理想論ばかり唱えられているけれど、その横では、おっさんどもがかつてアイドルに抱いた感情を具現化させる道具になっていたりする。そんでもって、それを見て喜んでいたりする。なんでもありなのがボカロの良い所なんだから、みんな勝手に好きなことやればいいじゃん、と思っている。絶滅危惧種の朱鷺じゃあるまいし、保護しなくたってミクさん勝手に情報ミームとして繁殖するよ。 


 ボカロが流行って5年が経つ。そろそろ、ボカロ文化だけに浸かって育った新人類が奇抜なことをやらかしてくれるんじゃないか、と期待をしているけれど、未だその兆しは見えない。相変わらず『ミクさんお願いします』パワーを使って、古参どもが、周りにそうと気付かれず貪り回っている状況。3~4年前のほうが、よっぽどカオスだったような気がする。 

 しつこいくらいに言うけれど、それが悪いと言ってるわけじゃない。そういった『プロ』の、夢を叶えたいという血の滲む努力があったからこそ、5年経ってもオワコン化しない現在がある。 

 結局、俺は何が言いたいのだろう。自分でもわからない。独り言に意味なんて無いし。 
 ただひとつ言えることは、みんな好きなことやればいいじゃん。夢の具現化でも金儲けでも、なんでも。ミクさんはミームの海を、のびのびと泳いでいればいいんだよ。良し悪しは俺らが決めることじゃない。ミクさんが決めることだ。 


 ちなみに俺は、『初音ミク -Project DIVA- f』買うよ? こんな神ゲー、買わないわけ無いじゃん。 
 やっぱりryoさんは凄いね。ミクさんにキャラクターソング歌わせて、いまだに他を寄せ付けないその才能が凄い。『恋するVOC@LOID』の後日譚みたいな印象。こりゃ、歴史に残る名曲になるで。